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一方で、音楽配信サービスの認知を高め、これまで音楽配信を利用しなかった層の取り込みにも大きく貢献すると見られることから、国内の音楽配信市場全体の活性化につながる効果が大きい。
2003年以降、大手音楽レーベルが音楽配信の形態を直接販売から卸販売へと徐々にシフトを始めたことにより、音楽配信サービスは多様化し、今後、利用者の増加とともに、ますます市場が活性化されることが期待される。
一方、音楽配信市場の成長とともに、音楽産業の流通構造は、変化が求められる時期に早晩さしかかると見られる。
音楽の流通は、長らくレコードやCNなどのパッケージメディアの販売が中心であった。
しかし、音楽配信が本格的に普及するにつれ、楽曲の出やプロモーションなどの戦略にも、売上の全体最適に向けた再構築が必要になるであろう。
PCによる音楽聴取、メモリー型(シリコンオーディオ)携帯オーディオプレイヤー、ハードディスク搭載型携帯音楽プレイヤー、さらにはインターネットによる音楽配信サービスの普及にともない、生活者の音楽聴取のスタイルにも大きな変化が見られる。
変化の引き金になっているのが、音楽聴取におけるPCの活用である。
N総合研究所(NRI)が2005年4月に実施した「家庭内におけるデジタルコンテンツ流通実態調査」によると、「PCに音楽ファイルの蓄積がある」人の割合は61%、「CNをPCに取り込んだ経験のある」人の割合は54%に達する。
また、「PCに音楽ファイルの蓄積がある」人の、PC内の音楽ファイルの平均蓄積量は282曲であり、1曲当たり4MBとして換算すると、約GBもの音楽フアイルをPCのハードデイスク内で蓄積、管理していることになる。
このように、楽曲を大量にPCのハードデイスクに蓄積し、管理する楽曲が大量になっていくことにより、個人の音楽ライブラリーの管理方法や聴き方自体に、大きな変化が生じる可能性がある。
今後、楽曲が100曲単位、1000曲単位で蓄積管理されるようになると、利用者にとっては、音楽聴取の選択の幅が増える一方、曲がありすぎて何を聴いてよいのかわからなくなったり、せっかく入手したのにほとんど聞かない曲がたまるばかり、という状況に陥ってしまうと予想される。
現在、Iなどの楽曲管理ソフトは、このような状況にある利用者のために、プレイ(演奏)リストの交換機能やシャッフル(ランダム再生)機能など、楽曲の選択を支援する機能を提供している。
また、楽曲を自動で配信するポッドキャスティング(トピックス2)などの新しいサービスも登場し、利用者を増やしていることも、このような状況が背景にあると考えられる。
音楽配信の本格普及とPCを用いた楽曲管理の浸透により、今後、利用者にとって楽曲管理をより行いやすくする機能の充実が、音楽配信サービスにとってカギとなる。
たとえば、利用者の楽曲リストを解析し、自動的に好みの楽曲を提供したり、プレイリストを作成したりするといった機能がその例である。
一方、音楽配信の利用が浸透しつつあるとはいえ、利用者調査で、1人当たり平均で90枚以上のCNを保有しているなど、パッケージメディアの保有量もいまだ多い。
図表3.4−3は音楽の聴取形態の分布を表したものであるが、ハードディスク搭載型携帯音楽プレイヤーの保有者であっても、「CNやMNを直接再生して音楽を聴くことが多い」層が、半数近くにのぼる。
したがって今後は、パッケージメディアも音楽配信も、統合的に扱う楽曲管理サービスの提供が、音楽配信サービスにおいてもカギになるといえよう。
この点で、現状リードしているのが、Aの楽曲管理ソフトIである。
IはPodとの連携だけでなく、CNからの楽曲の取り込みおよびタイトル管理にも対応し、同時に同じ画面でITMSJからの楽曲の購入やポッドキャステイングのダウンロードもできる。
さらに、好きな楽曲をCN一Rに書き込む機能も備えている。
すなわちPCを起点とした音楽ライフのあらゆる機能を1つのアプリケーションソフトでサポートしている。
また、着うたうルの成功を受け、携帯電話端末も楽曲管理プラットフォームの候補に浮上した。
今後、携帯電話端末は、CNをあまり保有していない層を中心に、PCを経由しない楽曲配信の要の位置を占める可能性を秘めている。
2004年11月に開始されたKの携帯電話端末音楽配信サービス「着うたうル」は、2005年9月末に累計2000万曲のダウンロードを達成し、大きな成功を収めた。
着うたうルは、1曲平均300円という価格設定や端末の性能などの面で、インターネット音楽配信サービスに比べ見劣りするものであったにもかかわらずという対応端末の圧倒的な数の多さ、および音楽を再生する端末携帯電話上で楽曲の検索やダウンロードから決済まで完結するという利便』性の2点が大きい。
特にパソコンを利用した音楽配信に比べ、手軽に楽曲購入が可能であるという利便性が、楽曲の価格の高さというハンディを乗り越えたという点に注目が集まっている。
また、曲のサビなどの特定箇所のみを次々と聴くことができるなど、携帯電話を使いこなす若年層にマッチした機能を充実させた点や、国内の大手レーベル各社が共同歩調をとり設立したレーベルモバイルを通じて、最新の楽曲を一括で提供している点も成功要因としてあげられる。
携帯電話向け音楽配信サービスは、携帯通信事業者と音楽レーベル、端末メーカーなどの各社の役割が明確であると同時に、各種の機能が統合的に設計されており、利用者にとって一括で利便性の高いサービスを提供できている。
これは、携帯通信事業者がサービス開発において、主導的な役割を果たすことができたために実現されたといえよう。
一方、NおよびVも、音楽配信サービス提供への意欲を示しており、これが本格的に実現すれば、利用者数の拡大に大きく貢献する。
また、Iに対応した端末の投入も予想されており、これが実現すれば、インターネット音楽配信を巻き込んだ、音楽配信サービスの大再編が起きる可能性も秘めている。
かねてから話題となっていたITMSの日本でのサービスITMSJが、2005年8月についに開始された。
サービス開始から3日間で、100万曲のダウンロードを達成するなど、こちらも好調な滑り出しを見せている。
ITMSJの開始時においては、楽曲の価格設定とラインナップに注目が集まったが、楽曲の価格は1曲当たり100円および150円の2種類であった。
この価格設定に対し、各音楽配信サイトが追従して値下げに踏み切るなど、早くも既存サイトのサービスに影響を及ぼしている。
一方、楽曲のラインナップの面では、総数10万曲と数は多いものの、まだ洋楽中心であり、需要が大きい邦楽の新曲の取扱数は限定的である。
これは、国内の大手音楽レーベルの提供楽曲数が限定的であることによる。
ITMSJのサービス開始が、国内の音楽レーベルが音楽配信のビジネスモデルを直販型から卸型へと大きく舵を切ったきっかけになったといわれているが、国内の音楽配信サイトは、米国のように、すべての大手音楽レーベルの楽曲を取り扱うには至っていない。
今後、大手音楽レーベルの楽曲をどの程度までITMSJで取り込むことができるかが注目される。
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